リンの代用品のさらに代用品なすず

リンの部屋の火鉢と、すずが作る代用炭団の代用品が入ったバケツが裏表でつながっている

こうの史代(2008)『この世界の片隅に 中』双葉社. p59)

見た目、優雅できれいなリンと、炭まみれで汚いすずの対比。すずがそう感じている事を表している。リンの火鉢には代用品ではない木炭が、すずのバケツには木炭の代用品の炭団のさらに代用品である代用炭団が、それぞれを象徴するように入っている。

「……… ……… ねえ 周作さん」

こうの史代(2008)『この世界の片隅に 中』双葉社. p64)

御飯の代わりのおうどんでさえなく、木炭(リン)の代用品の炭団(周作が子供の頃出会った少女)のさらに代用品(すず)。だから(表のすず(=周作が子供の頃出会った少女)ではなく)浦野(裏の)すず。

すずはそもそも身に覚えのない「子供の頃周作が出会った少女」として嫁にされた、いわば代用品だという認識が既にあり、その当該少女さえリンの代用品であったという事に気づいたので、そうなのであればもはや「子供の頃周作が出会った少女」自体が周作にとって重要な存在とは言えず、その身代わりとして自分が居る必要もないのではないか、とすずは周作に問いかけたかった。

「代用品のこと 考えすぎて 疲れただけ」

こうの史代(2008)『この世界の片隅に 中』双葉社. p66)

自分は「子供の頃周作が出会った少女」ではない、とはっきり言うべきかどうか、そして代用品(=子供の頃周作が出会った少女)はどんな人なのだろうかと考えすぎているすず。

(第9回の径子と同じくらいだった)晴美も大きうなった

下段のコマで、晴美の初のオーバーオール姿

こうの史代(2008)『この世界の片隅に 中』双葉社. p59)

p58)の最後のコマで竹槍を持つ晴美もおそらく同じオーバーオールだが、明確に描かれているのはこの回が初めてか。それまでは物語の最後で径子が取り出す(そして第9回で幼い径子が着ていた)スカート姿だった。晴美も成長して着れなくなったということだろう。

狐と狸

「うわ / どこの狸御殿か 思うたわ」

こうの史代(2008)『この世界の片隅に 中』双葉社. p61)

歌う狸御殿」は現存する最古の狸御殿シリーズ(2作目)。父の死後、養母と義姉きぬたにイジメられながら暮らす狸娘お黒の物語。

「葉っぱが 乗っとるで 小狸さん」

こうの史代(2008)『この世界の片隅に 中』双葉社. p61)

狐と狸の化かし合い。キツネ顔の周作 / 径子と、タヌキ顔のすず

「自分は代用品の代用品なのか」となじる代わりにきつい煙で周作を責めるすず

こうの史代(2008)『この世界の片隅に 中』双葉社. p66)

燻せば化けの皮がはがれるかもしれないし(狐だけに)。


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    • 2022/03/07 – v1.0

1 thought on “第19回(19年11月)

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