すずは出来る家事だけをこなす

「やれ 朝から 暑いこと」

こうの史代(2009)『この世界の片隅に 下』双葉社. p71)

朝食の食器を片付けるのは小林の伯母。

「ああ これ洗濯じゃ なかったね」 / 「やっぱり これ洗うて 貰えますか」

こうの史代(2009)『この世界の片隅に 下』双葉社. p73) / p76)

洗濯は径子が行う。p74)「モンペに直したで」とあるように裁縫も。

片手で不自由そうに掃き掃除をするすず

こうの史代(2009)『この世界の片隅に 下』双葉社. p72)

思うように出来ていなさそう。

出来ない家事を無理矢理しようとすると失敗して却って迷惑になるので、台所仕事や洗濯は敢えてしないということなのだろう。

本当に広島へ帰ることに

右下から2段目のコマで、これで会えなくなるとすずを見つめる周作

こうの史代(2009)『この世界の片隅に 下』双葉社. p71)

目をそらすすず。広島へ帰るということで、外的要因によって「それしか選択肢がなく、余儀なくされている事」とはいえ、北條家を守るということを途中で放棄する形になるからか。あるいは本気ではなかったのに広島に帰ることになってしまったからか。

「今日なん かいね あんたの里の お祭りは」

こうの史代(2009)『この世界の片隅に 下』双葉社. p73)

すずが広島へ帰ることを周作以外の北條家の皆に話す時に、それらしい理由として、里のお祭りに参加するためだとした可能性がある。p72)で(楠公飯の回で「径子らが 居らんと 静かなねえ」と言っていた)義母のサンが「すずさんが 居らんくなるんは 寂しいねえ……」と話しているし、径子は餞別代わりのモンペを作っているしで、誰もそれを額面通りに受け取ってはいないようだが。

「…どうせ 間に合や せんよ」

こうの史代(2009)『この世界の片隅に 下』双葉社. p73)

やはりこの日医者に行ってその後直接「祭に間に合わせる」建前で広島に帰ることになっていたのだろう。

その後に続く径子の「だいいち 汽車の切符が 取れんもん」は6月22日をつい思い出す。

「くだらん気がね なぞせんと 自分で決め」

こうの史代(2009)『この世界の片隅に 下』双葉社. p75)

「気がね」とは晴美の事や右手の事(家事が満足にこなせない)。このタイミングで径子が晴美の件ですずを詰った事を謝ったのは、そのせいで広島に帰ると言い出したのだと思ったから。

切れゝの寄せ集め

「見んで ええ!」

こうの史代(2009)『この世界の片隅に 下』双葉社. p73)

1つ前のコマで、径子が純綿をすずのモンペに直すために、ゴムひもの切れ端を寄せ集めるように結んで繋いでいる。切れ端の寄せ集めで格好悪いので「見んで ええ!」と言っただけ。

最終回「しあはせの手紙」のp146)「懐かしい切れゝの誰かや何かの寄せ集めにすぎないのだから」p149)「あちこちに宿る切れゝのわたしの愛」が思い起こされる。

径子は鬼いちゃんではない(当たり前だが)

「わかった わかった けえ 離れ! 暑苦しい!」

こうの史代(2009)『この世界の片隅に 下』双葉社. p76)

上巻p26)の鬼いちゃんとは違い、この後原因不明の地響きから守ろうと、径子はすずを抱きしめることになる。

「……ほいで やっぱりここへ 居らして貰え ますか………」

こうの史代(2009)『この世界の片隅に 下』双葉社. p76)

すずが初めて「くだらん気がね なぞせんと 自分で決め」た。(すずを気遣う)径子は鬼いちゃんではない(当たり前だが)のだ。


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    • 2022/03/30 – v1.0

1 thought on “第37回(20年8月)

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